活動報告

2019/03/22

Think Next! i.club Meetup! 2019「ミタイ!ミライ!ツクリたい!」を開催しました!

3月2日、東京品川のコクヨ東京ショールームにて、Think Next! i.club Meetup! 2019「ミタイ!ミライ!ツクリたい!」を開催しました。

本イベントは、地方資源を活用したイノベーション・プロジェクトの事例を高校生が発表・交流するもの。2019年度にi.clubが教育プログラムで関わった地域のうち、西会津チーム(福島県立西会津高等学校)、茨城チーム(大成女子高等学校)、壱岐島チーム(長崎県立壱岐高等学校・壱岐商業高等学校)の3地域から、授業、部活動、課外活動などでi.clubと一緒に活動した高校生と、その活動を支えた伴走者のみなさまが発表をしました。また、各地域のアイデアの試食や、プロジェクトに取り組む高校生との対話を通じて、高校生が考えたアイデアを拡げるために東京からなにができるかを考える、ワークショップも開催しました。

70名がこの場に集まる中、i.club代表の小川は冒頭、このように語りました。

「i.clubは、未来を担う世代である高校生に、自ら解のない問に挑み、未来をつくるアイデアを出す、イノベーション教育を提供しています。同時に、今を担う世代である大人にとっても、そのアイデアをイノベーションにつなげた産業創出に挑む場となっています。教育だけでも、産業創出だけでもない。地域の未来を作るためには、両方が欠かせません。その両者をつなぎ合わせているのが、i.clubの特徴です。」

「イノベーション教育でモチベーションが上がった高校生がいても、その地域の大人が動き挑戦するという姿がない限り、地域との関わりをもちたいと思えないでしょう。だから、ただ高校生に教育をして終わりではなく、大人も頑張る。そうすることで、高校生も、大人も未来をつくる風土が生まれ、それが地方創生の一つのモデルにのではと思って、活動しています。」

地域の高校生と地域の大人が、どのように共に解のない問いに挑み、未来をつくるプロジェクトを生み出したか。

その内容と成果を、これからご紹介していきます。

【第1部:Miraidea Pitch!】

第1部では、各地域の高校生が自ら考え実行したイノベーション・プロジェクトをMiraidea Pitch(ミライデア・ピッチ)形式を発表しました。ミライデア・ピッチとは、i.clubが考案する未来をつくるアイデアへの共感を呼び込むことに重点が置かれたプレゼンテーションの形式です。8分間でつくりたい未来を話し、その未来をつくるためのアイデアを話し、最後にアイデアによる変化の場面を(寸劇)で伝える。

その後には、高校生の活動を支えた伴走者である担当の先生や企業さまからも、取り組みや教育効果を説明。そして、まとめにi.clubから、各プロジェクトの取り組みの狙いや成果に関してのプレゼンテーションがありました。

それでは、各地域のイノベーション・プロジェクトの内容を以下に紹介します。

@西会津チーム:「青春が、走り出す―車麩ラスク、レモン&オレンジ風味―」&「パジャマ?ジャージ?いや、サッパジャマージ!」

Presentation: 西高魅力発信隊(福島県立西会津高等学校)

西会津チームは、地域の伝統品である車麩とサッパカマを活用した新商品の開発に取り組みました。

西会津町の特産品である車麩は、今でも伝統的な製法が守られている歴史ある保存食。しかし、若者には馴染みが薄いものになってきてしまった現状に着目し、西高魅力発信隊の3年前の先輩たちが生み出したアイデアが「車麩ラスク」です。車麩ならではのドーナッツ上の可愛らしい形を残し、若者や女性も手に取りたくなるような風味のスイーツを開発しました。

▲4年目に突入した車麩ラスク。

それから西高魅力発信隊は、毎年新たな風味を生み出しています。今年は、ラスクは甘すぎる印象がある人にも喜ばれる、爽やかな柑橘系の風味をつくりました。

また、サッパカマとは、会津の伝統的な労働用の袴。会津木綿を使用した伝統もありましたが、今の若者にはほとんど知られないものになってしまいました。

しかし、通気性の良さ、動きやすさ、丈夫さなど、実は良いところがたくさんあるサッパカマ。お年寄りが履くものという先入観を壊し、もっと幅広い年代が履けるように、農作業着だけでなく、ジャージ、そしてパジャマとしても履けるように、アップデートしました。

(「サッパジャマージ」という名称も、「サッパカマ+ジャージ+パジャマ」を繋げたものなんです!)

▲動きやすさを伝えるために、披露したダンス。会場も手拍子で盛り上がりました。

西会津チームの発表を聞いた参加者からは、

「私は東南アジアに行くと、お土産にタイパンツを買って、それをとても重宝して履いています。それと同じように、サッパジャマージも、日本の伝統的な意味と歴史がある、おしゃれでカジュアルな履物として、海外の方が訪れた時のお土産としても可能性があるんじゃないか、と感じました。私も欲しいので、売り始めたら教えてください!」

という応援コメントが。

そして、西高魅力発信隊の顧問の渡部先生は、

「自己主張やコミュニケーションが苦手な生徒や、中学まで不登校を経験したこともある生徒もいる中、小川さんや地域の方との交流・学びを通じて鍛えられ、自分たちのアイデアを形にできるようになった。それが間違いなく地域の人の価値観を変えているし、それを生徒自身も実感できていると思う。だからこそ、ここまで彼らが成長してきたんじゃないかな、と感じています。生徒たちの成長、それが最大の成果です。」

と、語ってくださいました。

@壱岐島チーム:「ふくふくふぐ焼き」

Presentation: 壱岐っ子ブラザーズ(長崎県立壱岐高等学校・壱岐商業高等学校)

続いて、壱岐島チームは、地域の特産品・養殖フグを活用した新商品の開発に取り組みました。

実は壱岐の郷ノ浦町では、最新技術を使って、陸上でトラフグを養殖しています。しかし、そのほとんどが関西方面に出荷されるため、地元の方々が食べる機会はなく、フグが養殖されていることすら知らないということもしばしば。

そこに着目した壱岐っ子ブラザーズは、

「フグはただでさえ、高級で、調理が難しく、食べ方も少ないイメージ。しかも養殖だと、旬がなく、いつ食べたらいいかわからない」

と考え、そこから「壱岐のフグの旬をつくろう!」と発想しました。

そうして、夏祭りの屋台で気軽に食べる人気No.1・たこ焼きから着想を得て「ふぐ焼き」を発案し、実際に自分たちで色々な味付けを試しながら試作を行い、イベントでの提供も行ってきました。

▲試作を重ねた、ふぐ焼き。兵庫県発祥の明石焼きのように、だしでいただきます。

このアイデアを聞いた参加者からは、

「養殖は旬がなく、いつでも食べられるのが良さだと一般的には考えられているけれど、それに対して、あえて旬をつくる、というのはまさに逆転の発想。めちゃくちゃ面白い!」

「自分たちで色んな味を試して実際に作って、確実に進んでいるね!」

と、多くの賛同をいただきました。

i.clubの壱岐でのサマープログラム受け入れ担当者でもある、壱岐なみらい創りプロジェクトの谷合さんは、半年間となりで伴走されてきた印象を、このように語ってくださいました。

「高校生たちは、最初は若干の“やらされてる感”もありましたが(笑)、活動を重ねる中で、発想も柔らかくなっていった。昨日の夜も、ホテルで一部屋に集まってかんづめ状態で、一生懸命練習していて。実際に試食を食べてもらい、もらったフィードバックをもとにどう改良するか?と、高校生が自分たちで真剣に考える。そこに、今回の活動の一番の素晴らしさがあると思っています。」

と、プロジェクトの裏側についてもお話いただきました。

▲発表後、高校生に向けた応援コメントを、カードに記入しました。

@茨城チーム:「みる!だけじゃない、たべる!も。サクサク、カルウメヤキ、できました。」

Presentation: 地域デザイン(大成女子高等学校)

最後の発表である茨城チームは、茨城県の梅ブランド「常陸乃梅(ひたちのうめ)」を活用した新商品の開発に取り組ました。

「茨城の梅」と言えば、日本三名園の一つとして有名な偕楽園(かいらくえん)を思い浮かべる方も、多いのではないでしょうか。そして、

「梅の名所なのだから、梅の名産地でもあるんでしょう?」

そう思う方も、多いのでは、と思います。

しかし、実は茨城県は、梅の産地としては全国トップ10にも入っておらず、「茨城の梅は見るもの、食べるものではない」というイメージが、地元にもあるようです。

大成女子高等学校の皆さんは、これを逆にチャンスと捉えて、茨城の梅ブランドを立ち上げている地元の老舗梅干屋さん・吉田屋さまと連携。梅の食感が苦手な人にも食べてもらえるような梅スイーツ「カルウメヤキ」を開発しました。お菓子のきくちさまと連携し、3月10日からは商品として販売されます。

茨城チームの発表を聞いた参加者からは、

「梅の名所だけど生産地としては知られていないこと、梅干し独特の食感を“サクサク”に変えるということ。この2点は、言われてみればそうだな、と思うけれど、実は見つけるのはすごく大変だったと思う。すごい!」

などの応援コメントをいただきました。

そして、担当であるキャリアデザイン科主任の森先生からは、

「知らない間にプレゼンの内容が変わっていたり、生徒たちが勝手にどんどんやるようになった。」

「大成女子高等学校は、地域で活躍できる女性の育成を目指しています。今回の活動に取り組んだ生徒は、商品開発で連携した吉田屋さんへの就職や、地元の大学で地方創生を学ぶ学部への進学が決まった生徒も複数おり、まさに地域で活躍できる若者の育成となっています。」

と、活動の教育効果という側面をお話くださいました。

【第2部:Think Next! Workshop!】

今回発表した各プロジェクトの新商品を実際に食べられる試食会をはさんで、第2部が開始。ここでは、参加者が高校生のプロジェクトごとにグループに分かれ、高校生が考えたアイデアを応援するために何ができるのかを考えるワークショップを行いました。

それぞれが開発した新商品をより多くの人に知ってもらい、プロジェクトがもっとワクワクするものになるには?参加者も、高校生が発表会までにしたのと同じように、見たいミライを考えて、つくりたいアイデアを考えた後、高校生に発表しながら交流をしました。

例えば、こんなアイデアが。

「以前流行ったアイスバケツチャレンジに着想を得て、カルウメヤキの“サクサク”という音に着目した“サクサクチャレンジ”、面白いと思いませんか?指名された人は、本当は食べちゃいけない所でカルウメヤキを食べる映像と、その瞬間の“サクッ”という音を撮る。指名されるのが楽しみになるし、撮られた映像も面白くてバズるようなムーブメントにすると、楽しく広げられるなと考えました。」

「島の内外に、フグ好きが集まるコミュニティを作るといいんじゃないかな?その上で、2月9日を『ふぐの日』と定めて、この日はフグを食べに壱岐に帰っておいで!という仕掛けを作ると、フグ=壱岐というイメージも定着できるね」

「食べられるサッパカマを作るのはどう?サッパカマを作る原材料にも着目して、全て食べられる天然由来の素材でサッパカマを作る。例えば、黄色く染色したい場合は、色素も黄色い野菜から取る。そうすると、世界でここにしかないものができて、ミライにはイタリアのエルメスもその素材を買いに来る、とか!」

高校生たちにとっても、自分たちが考えたアイデアをもっと広めるためのアイデアなので、「そうか、こんなこともできるのか!」と、さらにワクワクし、可能性も感じられたのではないでしょうか。

地域の高校生が、普段は東京にいるi.clubに応援・共感くださっている社会人と直接お話できる機会は滅多にないので、とても貴重な時間ともなりました。

会の最後に、i.club代表の小川より、総括と今後に向けた展望をお話しました。

「高校生にThink Next!と言っているのだから、自分たちもThink Nextしなきゃ!ということで、8年目に入るi.clubは、地域でのイノベーション教育だけでなく、新しいこともやっていきたいと思います。」

「そこで、今年から新たにチャレンジしたいのが、東京という“地域”にも取り組むこと。実はぼく自身も、東京の私立高校の出身です。高校時代は、自分の地域も、全国の地域のことも、何も知らなかった。そういう都会の高校生たちが、地域で学んでいる未来。地方に行き、実践的なイノベーションに挑む。『そうだ、イノベーションに挑もう』というような未来。そういう選択肢を作っていきたい。」

最後は全員で集合写真を撮影。その後も、参加者の方が高校生に話しかけたり、新商品のチラシを配ったりなど、最後まで熱気溢れる場となりました。

イベント終了後、高校生のみの懇親会で、

「プロジェクトを通じて色んな事業者さんと関わる中で、『茨城のブランドを作りたい』、『もっと若者に知ってほしい』と、情熱を持って仕事を打ち込んでいることにすごく感動した。」

「活動を始める前までは、地元のことを『本当に田んぼと山しかないし、遊ぶ所もない。早く都会に行きたい』と思っていた。でもプロジェクトをやる中で、食べ物や自然、地元の人など、魅力を再発見できた。」

「生まれ育った地元でも、知らないことがたくさんある。アイデアを出す中で、地元のことを皆にもっと知ってほしい、という想いがすごく強くなった。」

プログラムに参加した高校生が、このように自分の地域の良さに気づいて見方が変わること、実際に自分で新しいものやアイデアを生み出せるんだという自信を持てるようになることを、i.clubとして、とても嬉しく思っています。

これに留まることなく、i.clubはこれからも全国の高校生と地域のみなさま、そして応援くださるとみなさまとともに、Think Next!していきたいと思います。

会場まで足を運び、ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!

credit
photo:上石了一
text:施依依