活動報告

2019/09/14

これからの時代を生き抜く力をつける 「イノ旅」トライアルプログラム春’19 実施報告イベントを開催!

出張でも、観光でも、帰省でもない、新しい目的の旅。その一つとして「学ぶ」ための旅があってもよいのではないか。特に旅をたくさんする人、移動距離が長い人の方が、イノベーターとしての力がつくという話しも。座学より、実体験として学ぶ方が将来にも繋がる、これを証明していければ。

ANAホールディングス(株)では、「旅×学び」の新たな可能性を探り、「学ぶために旅に行く価値観」の創出を目指しています。現在、イノベーション教育プログラムを開発・提供する(一社)i.clubと共に、高校生が日本のさまざまな地方を旅しながらイノベーション(未来をつくるアイデアを出すこと)に挑む、実践型教育プログラム「イノ旅」に取り組んでいます。

この春には一般財団法人こゆ地域づくり推進機構の協力のもと、トライアルプログラム春’19を2019年4月3日から5日の3日間で宮崎県新富町にて実施しました。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の高校に在学中の高校生4名が東京から宮崎県新富町に訪れ、宮崎県内に在住の高校生8名とともに、地域の方々と交流しながらイノベーションに挑む旅。その旅から3ヶ月後の7月14日。プログラムに参加した首都圏の高校生4名が集まり、イノ旅で考えたアイデアの発表と、イノ旅を通じて感じたことや変化をパネルディスカッション形式で共有するイベントを東京で開催しました。

三連休の中日、足元の悪い中にも関わらず50名近い方々にお集まりいただき、高校生の新進気鋭の着眼点と、これから切り拓かれる新たな可能性にわくわくする時間となりました。その様子を紹介します。

■高校生たちがイノ旅で考えたアイデアの発表!

高校生たちに与えられたお題は「新富町のお茶のイノベーションを考えよ」というもの。高校生たちは新富町のお茶の事業者、(有)夢茶房へのフィールドワークを通じて、新富町のお茶の理解を深め、その未来をつくるアイデアを考えることに挑みました。今回はそのアイデアを東京で発表しました。

大人だけでなく子どもにもお茶を楽しんでもらいたいという想いから生まれた「お茶クレヨン」。あえて急須でお茶を入れてもらいたいという想いから生まれた「見て味わう新富のお茶、新富フラワーティ」。実際に茶畑を見ながら飲んだお茶の味は、全然違って癒されたという想いから生まれた映像、香り、味、音、足下の感触など、五感を使った施設を作る「ほむ茶畑」。そして、人々が明確な理由を持ってお茶を飲めないかという想いから生まれた「成績アップtea」。どれも自らが現場に行って感じた想いから生まれたアイデアであり、とても楽しそうに高校生たちは発表していました。

「ここまで来たら、実際にやりたい!」。なんとアイデアを考えていく内に愛着も湧き、宮崎から東京に戻ってきてから銀座にある工芸茶の企業と一緒に実現できないかと自ら連絡をとり、話を進めている高校生も。その行動力には会場も驚いている様子でした。また、高校生のアイデアから刺激を受けた宮崎の大人たちも負けていません。なんと成績アップteaの試作がさっそく行われており、サプライズとして会場で振る舞われることに。爽やかで飲みやすく、かつピリッとした苦味が勉強の際の集中力を高めてくれそうという意見もあり、大好評でした。イノ旅で生まれた高校生たちによるアイデアは、人々を、そして地域を動かしていました。

■高校生たちがイノ旅で得た学びとは?

アイデア発表を終えたところで、世代教育の先駆者の小宮山理恵子さんに入っていただき、高校生たちとのパネルディスカッションへ。小宮山さんご自身も、一年の内の三分の一から半分を海外で過ごす中で、移動距離と想像力は比例するということを自らが実感しているそうです。そんな小宮山さんに、高校生がイノ旅を通じて感じたことや変化を引き出していただきました。

イノ旅に参加した理由について問いかけると、「高校1年生の間で、特に自分が何かをした、何かを変えたという実感がなくて、少し焦っていた。それでこの話が舞い込んできたので、何かのきっかけになるかもしれないと思って食いついた」という高校生もいれば、「修学旅行などと違って、イノ旅はより解放された、自由な気持ちで過ごせそうだから」や「人との新しい出会いを求めて」という高校生も。

それぞれ参加した理由は違うものの、イノ旅に参加してよかったこととして、「今までは、旅行=何かを見に行くため、と思っていた。それに対して、そもそも学ぶために旅に行くという考え方を持っていなかったので、その考え方を得られたことがよかった」、「人と会うため、アイデアをつくるために旅に行くのは、今まで経験したことのないこと。そんな新しいことを経験できてよかった」というイノ旅が目指す学びを目的とした旅に合った、嬉しい感想をいただきました。

会場には高校生の担任の先生も駆けつけてくれました。その先生からは「元々それぞれに悩みがあり、壁にぶちあたっている。それを東京では、頭や理屈でこうじゃなきゃいけないと考えていた中、現地に行くことで、視座が高まったように思う。それこそが現場の持つ力。現地に行かないと立ち上がらない感覚をすごく掴んでいて、それをそのまま持って東京に帰ってきて、東京の町を見ているのは、すごくいい体験だと思う」と語ってくださいました。

最後に小宮山さんより「みんなにとってイノ旅とは何か?」という問いかけに高校生たちは「学ぶために旅に出るという、今までになかった新しい考え方をたくさん手にできた旅」。「自分にとっての当たり前が崩れる旅」。「今までは自分は得意なことがないなと思っていたが、アイデアをまとめたり、原点に戻ったりすることことができることに気づいた。新しい自分に気づけた旅」と、自分の言葉でイノ旅での経験を語る高校生の姿に、会場の多くの人がうなずきながら聞いていました。

終了後の懇親会は、来場者が高校生と実際に話をしたり、お互いに交流したりと、熱量が冷めやらぬ様子。来場者の方々から「高校生の選ぶ言葉がとても的確ではっとさせられることが多かったです。あたりまえがくずれるという言葉も良かったです!」、「聴くだけでなく、見る、対話する、対話を聞くことを通して、イノ旅の意義や内容を理解できました!」、世の中的に日本中の全学生がこういう体験をあたりまえに受けられるような状態になればいいなと思いました。頑張ってほしいです!」という嬉しい声をいただきました!

高校生が日本のさまざまな地方を旅しながらイノベーションに挑む、実践型教育プログラム「イノ旅」。今回参加してくれた高校生たちが語ってくれたように、「学ぶために旅に出る」が旅に出る際の選択肢の一つになる日を目指し、取り組みの挑戦は続きます!

credit
text:施依依